【2024年コケ活の記録】2月:小型苔類にひそむ極小キノコと真冬の再会
10月半ばまで続いたしつこすぎる残暑(?!)を疎ましく思っていたら、急に秋がきた。
去年は屋久島での5月間の短期移住がメインとなった一年だったが、
今年は地元・関西をベースにしつつ、国内のあちこちでコケ活ができた充実の一年だった。
今年ももう残りあとひと月半ほどだ。
できる限り2024年のコケ活を記録しておきたいと思う。
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今年のフィールドでのコケ活はじめは2月。
コケ・キノコが好きなMさん、Rさん、Sさんと私の関西人4人組で大阪・箕面の山へ。
じつは3年前の2月にも同じメンバーで現地を訪れたことがある。
というのも、ここをホームフィールドとしているMさんから以前、
「箕面のお山はコケもキノコも楽しめますよ」
とうかがい、
「それなら行ってみたい!」
と私、Rさん、Sさんが即座に飛びついて、現地を案内してもらったのだ。
その際、小さな苔類の群落の中に生える、極小キノコを見つけた。
その時はそのキノコの宿主であるアカウロコゴケに胞子体がついていたので、
ついついそっちに夢中になり、
「あ、この小さいのもキノコなんだ。ふーん」
くらいに思っていた。
しかしその後、特定の苔類に初春~春にだけ発生するちょっと珍しいキノコであるということを知った。
3年たったいま、彼らはまだあの場所で元気にしているのか。見に行ってみたい。
そこで今回は私のたっての希望で同じメンバーをお誘いし、再訪しようということになったのである。
朝10時頃に現地に入り、まずは3年前に発見した極小キノコの生育地へ。
温暖化の影響か、今年は3年前と比べても真冬とは思えない暖冬の2月。
しっかり冬を感じられないとコケたちの生長にも影響が出るんじゃないかしらとかなんとか思っていたら・・・
早速、いた。
アカウロコゴケの群落の中に点々と見える、やや透明感のあるコバルトブルーをした円盤形のものがそれだ。
名前は、ミドリコケビョウタケ(緑苔鋲茸) Mniaecia jungermanniae。チャワンタケの仲間という。
アカウロコゴケを知らない人にとって、これがいかに小さいキノコか、
サイズ感がほとんど伝わらないと思うのだが、直径は1㎜くらい。
生育場所を引きで見ると、こんな感じ。
▲Mさん、Rさん、Sさんの手前にあるうっすら緑がかった部分ややや茶色い部分。これがまずアカウロコゴケの大群落
広~く薄~く繁茂するアカウロコゴケの群落のどこにミドリコケビョウタケがいるのかわからないが、
とにかく地面に身体をできる限りひっつけて、ミドリコケビョウタケを探す。
▲ミドリコケビョウタケを見つけたMさん
▲じっと目を凝らしていると見えてくる青い粒。冬になると赤紫に色づくアカウロコゴケの群落の上なので余計に映える
▲アカウロコゴケの胞子体(写真左上にいくつもある花被等に包まれた赤紫色の球状部分)もたくさんついていた。
ちゃんと生長している。よかった!
今回はアカウロコゴケの群落に見られたミドリコケビョウタケだが、他種の小型苔類にも生えるという。
ミドリコケビョウタケの学名の「Mniaecia jungermanniae」の「jungermanniae」も苔類・ツボミゴケ科「Jungermanniaceae」が由来しているものと思われる。
海外では ツキヌケゴケ属 、ヤバネゴケ属 、コヤバネゴケ属 、シロコオイゴケ属 、 ツボミゴケ属 、スギバゴケ属 、タカネイチョウゴケ属 、トサカゴケ属等が寄主として記録されているという。
「ミドリコケビョウタケ」で検索してもらうと意外やいろんな情報が出てくる。
とくにディスコ屋さんのチャワンタケ専門サイト「Discomycetes etc」の投稿や、
キノコ専門サイト「きのこびと」のいわまあみさんの投稿が詳しい。
今回の生育地やいわまさんの投稿を見ても、わりと崩れやすい(もしくは踏まれる等しやすい)、不安定で明るめの土面に生える小型苔類に寄生しやすいのかもしれない。
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さて、この日はこのあといくつものハイキング道を歩き、最終的には箕面駅がゴールとなった。
その道中で、またもや苔類に寄生する超小型キノコに遭遇した(Mさんが発見)。
この白い鋲のようなものはおそらくキノコ。宿主は朽ちかけたケゼニゴケだった
このキノコとおそらく同じであろうと思われる種についての情報が、
同じくディスコ屋さんの投稿で見ることができる。
学名は「Bryoscyphus conocephali」。
まだ和名がついていないという。命名するなら「ケゼニコケビョウタケ」かな?!
ただし「conocephali」はジャゴケ Conocephalum conicum が由来していそうだが・・・。
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