レポート 「コケの不思議展」(part1.巨大シダとランの桃源郷編)@広島市植物公園

さぁ、あっという間に2月も後半戦。

前回の記事でご紹介した咲くやこの花館の「こけ展」のレポートもせねばなのだが、まだ去年のコケレポを書ききれていない。

最近は日々のこまごまとしたことに追われ、自分のために使える時間もすっかり減り、コケ活も実行するだけで精いっぱい。

自分の記憶の中だけで留めておくことがままなのだが、たまに「コケのブログ、見てます」とおしゃる奇特な方がいるので、

やはり「これは」というものについては書き留めておきたい。


というわけで、書きます。


さて、みなさん、広島県でこのような企画展があったのをご存じでしたでしょうか?



開催場所は「広島市植物公園」。失礼ながら、まったく存じ上げぬ場所。

公式ホームページでアクセスを見ると、広島駅から山陽本線に乗り継ぎ五日市駅下車、さらに駅前からバスで約20分とあり、

土地勘のない者にとっては「これはちょっと気楽に行ける場所ではないな」という予感が頭をよぎる。


しかし、岡山コケの会関西支部のお仲間さん達が、「藤井さんは、広島のコケ展はもう行った?(=私は行ったゼ!)」

とニヤリとしながら尋ねてくるので、私も岡モス関西のはしくれ、西日本のコケの展示は見とかねばなるまいと覚悟を決め、

会期終了の3日前、自宅を朝8時過ぎに出発し、片道3時間ほどかけて広島市植物公園へ向かったのであった。

ちなみに「子どもの学童のお迎えに間に合うように帰宅」という最重要ミッションも抱えているため、滞在予定時間は3時間半となる。



▲植物園の最寄りのバス停の時刻表。やはり本数が少ない。

1本乗り逃したら子のお迎えが間に合わない。これは1秒も無駄にはできない


私が訪れた12月下旬のこの日、中国地方には寒波が来ており、雪もちらつくほどの寒さであった。

寒波襲来の中、わざわざ植物を愛でに出かけようという人はフツーいないのであろう。

平日ということもあっただろうが、同じバスに乗って植物園に降り立った人は、私を含め2人だけ。

広大な植物園には木枯らしが吹きすさび、初入園の私を不安にさせるほどのひとけのなさであった。

しかも、バスから降りたもう一人はコケ目当てではなかったようで、いつの間にか広い園内のどこかへ消えてしまった。

▲植物園のゲートを入ったところ。園内は縦長敷地は17.6ヘクタール。ちなみに開園は昭和51年


▲本当に誰もいなくて不安になったが、この看板を見つけてひとまずホッ。



ありがたいことに、やはりこの日の企画展会場は貸切り状態であった。

ささっと1周して、だいたいの時間の算段をし、いったん会場の外に出る。

せっかくここまで来たのだ。まずはこの広大な植物園を見学しようではないか。


しかしこのあと、私は温室を見ただけで、ダッシュで企画展会場へ戻ることとなる。

そう、植物園は私が想像していたよりも見どころたっぷりなのであった。


▲温室だって〝大〟温室。ただの温室ではないことをこの時に気づければよかった



さすが冬でもあったか、大温室。

ジャングル的に植物モリモリ、蓮池まであり、まさにここは熱帯・亜熱帯植物たちの楽園。

極寒の屋外から入り込んできた者にとっては、もはや桃源郷の如しであった。

とりわけランの展示はすばらしく、不思議な形のラン、香りのよいランにすっかり魅了されてしまった。


さらに樹状着生タイプのシダ植物の数にもびっくり。

なかでもこの横綱サイズのビカクシダ(コウモリラン)には目を見張った。

▲あまりに大きすぎて樹幹に着生できず、地上に下ろされている横綱級ビカクシダ

▲中をのぞくと、枯れ葉がすでに堆肥化している模様。他のシダ植物も余裕で養っている太っ腹な横綱さん

▲横綱さんを後ろから見たところ。サイズ感がわかるように温室内の手入れをしていた植物園職員さんと共に。

赤子のゆりかごどころか、幼児のハンモックになるくらいの大きさだった。

ちなみに職員さんに何年物か尋ねると、十数年くらいとか(ちょっと記憶が曖昧…)。

意外と成長が早くてびっくり。そして、もともとは他の植物園にいた子なのだそう。


▲ふむふむ。ビカクシダのからだってこうなっているのね


さて、ここまで読んでくださった方、「で、いつコケ展の話に入るんだい?」と思われていますよね。

はい、私も今の今まで書くつもりでおったのですが、温室についての写真だけですでに18枚。

自分で言うのもなんだが、本題に入るまでが長い。長すぎる。

否、それだけ見どころたっぷりの大温室だとも言えるのだが…。

せっかく来たんだからちょっとひやかしに行こう程度に考えていた私が甘かった。


というわけでコケ展のレポートは、次の記事で。


▲急いではいるが、最後に温室内のコケチェックだけは忘れずに。この石垣はどうかなー

▲いたいた!

▲ここにも

▲大温室にいる人間は、植物の手入れに励む職員さん3人と、私のみ。いやはや贅沢な時間をすごさせていただきました


なお、大温室のすぐ近くにはベコニア温室やサボテン温室などもあったのだが、それらまで見て回っている時間はとうていなかった。ザンネン。


現在は大温室では「ラン展」が開催中とのこと。ご興味がある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。

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